【僕の想いは君の中へ】
−戻れないと思った−
君は僕を置いて、遠くに逝ってしまった。
今でも僕の身体には、君の温もりが残っている。
−そう…まだ温かいのに−
君はいない。
この手に抱きしめることも。
声を聞くことも。
触れ合うことも出来ない。
それなのに、僕はただうつむいていた。
声も涙も出ないままに。
心はこんなに大きく穴が空いているのに。
大切な君への想いだけが募って、
静かに君の温もりと幻影だけを追った。
−僕は確かに、君を愛していた−
でも。
今は。
もう、僕は君の想いを乗せてどこまでも走り続けようと思う。
君の想いは僕の中へ、僕の想いは君が遠くへ連れて行ったから。
僕は静かに目を閉じる瞬間まで、君の想いを抱きしめようと思う。
それが残された僕にできるせめてもの、君に対する想いなのだから。
−僕は本当に、君を、君を−
僕は目を閉じる瞬間、眩しい光の中を駆け巡った。
その中に君の姿を見つけた。
あの時のままで。
僕はその姿をみた瞬間、静かに涙を流した…。
−愛していたんだ、本当に−
僕は差し出された君の手を握りしめ、眩しい光の中を君とともに歩いた。
完